うえぶ魔の部屋にお越しいただきありがとうございます。このブログではwebマーケティング(特に広告や計測関係)に関する記事を多数アップしておりますので、色々とごらんいただけますと幸いです。

【書評】実践顧客起点マーケティング |N1分析

どんな人におすすめ?

・マーケティング担当者
・サービス責任者
・顧客理解に重きを置いている人

これらに該当する方は読んでおいたほうがよいと思います。

本書では顧客理解の型が提示されており、サービスやプロダクトをグロースするのに備えておいたほうがよいことが多数散りばめられています。

全体の所感

マーケティングにおいて、ユーザーインタビューを通して定性的に顧客を知ることは大事だと感じているマーケターは多いと思います。
ですがユーザーインタビューを行なって、それを施策まで昇華させて成功をおさめた経験があるマーケターは意外と少ないのではないでしょうか?

特にwebを主戦場としているマーケターはその傾向が強いと思います。 webは数字が集まりやすい傾向がありますので、定量分析で済ませられることが多いです。
定量分析はデータの確実性が高いというメリットはありますが、深く知るということに関しては定性分析の方がよいことはわかると思います。

本書では筆者が実際に「スマートニュース」や「ロクシタン」でインタビューを行った結果どういう施策に昇華させたかなど、理論と実例がセットで説明されていて、非常にわかりやすい内容となっています。

5セグメント

顧客はブランド選好度合いによって5つのセグメントに分けることができるとしています。
ブランド選好度合いによってブランドに対する認識は違ってくるはずで、この認識の違いが仮説を立てる根拠になってくるからです。

ブランドから離脱しようとしている顧客に対してブランドの魅力を質問しても、あまり大きな意味をなさないことは明白でしょう。

N1分析をする上で、N1に選んだユーザーはブランドが抱える顧客の中のどの段階にいるのかを理解しないと、漫然とインタビューを繰り返すことになってしまうので、顧客をセグメント化し、どのセグメントにいる人なのかを考えなければなりません。

本書で言う5セグメントは以下の5つになります。

  • ロイヤル顧客(一定期間内に購買実績があり、かつ一定額以上の購入がある)
  • 一般顧客(一定期間内に購買があるが、一定額以上の購入はない)
  • 離脱顧客(過去に購買経験はあるが一定期間内の購買はない)
  • 認知済未購入顧客(ブランドを認知しているが、購買実績がない)
  • 未認知顧客(そもそもブランドを知らない)

ほとんどのブランドでは「未認知顧客」が大多数を占めることとなるのは想像できるかと思います。
顧客は最初は全員が「未認知顧客」であり、それぞれが様々な体験を経て各セグメントを移動していきます。

上のセグメントと下のセグメントで何が違うのかということを時系列で徹底的に洗い出していき(離脱顧客はセグメントを下りた理由)
それぞれのセグメントに含まれる顧客のブランドに対するイメージの違いを分析することができれば
そこから仮説を立てることができ、施策に昇華することができます。

オーバーラップ分析

この5セグメントは、特にベンチマークする競合との顧客の分布を分析することで、競合から顧客を奪うことや 相対的にどの部分で優っているか(劣っているか)などを分析することができる。 たとえば、「自社の離脱顧客」かつ「競合のロイヤル顧客や一般顧客」に含まれるユーザーを分析することで 何を理由に自社の顧客が奪われているのか?などを掘ることによって、顧客の流出を防ぐことができるかもしれない。

9セグマップ

先述した5セグメントはユーザーの購入状況や認知しているかなどの具体的事実に基づいてセグメントを分けているが 実際のブランドでは、購入には至っていないがそのブランドを次は購入してみたいと思っているなどの状態の顧客も存在する。 いわゆる”AIDAモデル”で言う”I”と”D”の状態である。 これは顧客の心理状態による区別であるが、”購入の一歩手前まで行っている認知済購入客”と”そうでない認知済未購入客”は違うし それは一般顧客でもロイヤル顧客でも、ましてや離脱顧客でも同じことがいえる。 同じセグメント内でもブランド意向を持っているかどうかでは大きな違いがある。 ブランド意向があるかないかは「未認知顧客」以外の全セグメント内で区別することができ 同じセグメント内でもブランド意向のある顧客は1つ上位のセグメントに近く、逆は遠いということになる。 この9セグメントのうち、それぞれでブランドに対してどう思っているのか?何を経験したから、次のセグメントに行ったのか?を分析することで5セグメントよりも効果的な施策を行うことができる。

まとめ

いかがでしたでしょうか? 私的には3ヵ月に1度くらいの頻度でアンケートを行って5セグメントか9セグメントの数字の移り変わりを追っていくことを定期的にやっていきたいと考えております。 戦略を策定するときに集中的にN1分析をするという手もありますが、マーケティングで名高いP&Gなどは毎週定例でユーザーをお招きして、インタビューを行っているそうです。余談ですが、マーケターの中にはユーザーのカバンを見れば、ブランドにどういう感想を持っているユーザーかわかる人もいるみたいです。 私もそこまでではなくとも自分がマーケティングしているブランドの顧客には、それほど愛を持って接したいと考えております。

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